2017年10月20日金曜日

日本とノルウェー~奏者と製作者~at Granvin

9月22日、ノルウェーのハルダンゲル地方Granvinにて、楽器のエキシビジョン、コンサート、ダンスイベントでハーディングフェーレがメインとして行われ、私は一楽器製作者として新作を展示しました。
ちなみに、Granvinのシンボルは私の住んでいるBøと同様ハーディングフェーレのマークで、ノルウェーではハーディングフェーレがシンボルになっているのはこの2つだけです。

今回のイベントの発端は、日本人奏者、製作者とそれぞれを教える現代を代表するノルウェーの奏者と製作者。この師匠と弟子の関係にフォーカスをあてたイベント。
9月の中頃から短期間でノルウェーにハーディングフェーレの演奏を学びに一時いらしていたプロ奏者の酒井絵美さん。
そして、私の作った2作目の所有者。
その先生であるハーディングフェーレ奏者の巨匠Knut Hamreさん。
製作は私と先生で奏者としても、製作者としてもノルウェーの一番大きい大会で優勝されているOttar Kåsaさん。
この4人が元となり、そして気付けば、ハルダンゲルの奏者の方々、ノルウェー人で琴を演奏される方など、とても大きなイベントとなっていました。
このイベントはハルダンゲル地方でも地元紙でも大きく取り上げられました。

ではこのイベントを時系列で書いていきます。
まずはエキシビジョン前に行われたその日の出演者の記者会見から。
エキシビジョンで出展した楽器は現代のハーディングフェーレ製作者5人と昔の重要な製作者ハルダンゲル地方からはBotnen家とテレマルク地方からはErik Johnsen Helland。
各製作者による自身の楽器の説明、奏者のコメントや試奏などNRK(ノルウェーの国営放送局)や地元紙など交えて行われました。
私も新作についてとOttarさんとの話などしました。
そしてKnut Hamreさんによる私の楽器の試奏。
これには本当に驚きました。当初の予定ではこの日のコンサートなどで私の楽器が使用される予定は特にありませんでしたが、Knutさんが試奏して下さり、合格を頂けた事でこの日のコンサートで使用される事となりました。
Photo:Asaki Abumi 記者会見前、Knut Hamreさん、酒井絵美さんと
  Photo:Asaki Abumi 記者会見
  Photo:Asaki Abumi
  Photo:Asaki Abumi 新作を試奏されたKnut Hamreさん
  Photo:Asaki Abumi 左から私の新作、Erik J Helland, Ottar Kåsa
  Photo:Asaki Abumi 一番左はHardanger Folk Museumの方。その隣から順に製作者Ottar Kåsa、 Arne Jordan、 原圭佑、 Wiebke Lüders
Photo:Asaki Abumi NRKの撮影と酒井さんの演奏
エキシビジョンでは、一般のお客さん達を迎えて、楽器を見て頂いたり、試奏して頂いたりしました。出展側として経験ある自分からすると、こういう楽器の展示会は、お客さんからすると、楽器に触れてはいけないもの、見るだけしかできないと思われる方もいらっしゃいます。確かに中には触れられない楽器もあります。ただ私の楽器に関しては、(丁寧に扱って下さるととても助かりますが笑)是非手に取って見て弾いて頂きたい物です。じゃないと楽器の良さは分かりませんからね。ですから、私自身楽器の前に立って、積極的にお客さんにお声かけて、試奏をお勧めしました。この日、最初にお客さんが試奏してくれたのは私の楽器でした。ご年配のご夫婦で、拙いノルウェー語で「楽器演奏されるんですか?」と尋ねたら、そしたら奥様が「主人がね」と仰られたので「じゃあもし良かったら弾いてみませんか?弓もあるので♪」とその場でご主人様に弾いて頂きました。あの瞬間とっても嬉しかったなあ…こういうのって誰かが弾き始めると周りのお客さんも「お?弾いても良いのかな?」と思って場が盛り上がっていくんですよね。でも最初が中々難しいんです。誰も弾いていない中で弾き始める状況ですからね。
そして最初は少なかったお客さんも気付けば大賑わいで、コンサート開始時間まで盛り上がってました。色んな方に弾いて、見て頂けてとても良かったです。

コンサートでは、Granvin、Telemarkと日本の奏者達が。
ハルダンゲルのスペルマンスラグから始まり、Knut Hamreさんと酒井絵美さんによる師弟演奏。ここでは私の楽器2作目と3作目の楽器も共演を果たしました!
(当の本人は次出演で演奏聴く余裕なく笑)
Photo:Asaki Abumi
そう、実は、私も壇上に立ちました。私自身についてハーディングフェーレ製作者を目指すきっかけとなった話などをノルウェー語で行ったのですが、、、とちった(笑)途中セリフがポンと飛んで頭真っ白になりましたが、まぁ、、、まぁ何とか(笑)
Photo:Asaki Abumi
 満員の会場。
Photo:Asaki Abumi
Ottarの演奏終わり直前、突然司会の方が私の所にきて「Ottarと何か話す?」といきなり聞かれたので、何のことかさっぱり分からず、急きょとりあえず何かもまとまらないうちに壇上に再び立つことに。
なんかせっかくだし、今までの感謝の気持ちとか工房での事とか話そうかな?と、今となっては何を話ししたか覚えてないです…
最後はスペルマンスラグの演奏でコンサートは幕を閉じました。

ここからは見慣れた光景と言いますか、ダンスの時間で夜中過ぎまで行われました。
ハルダンゲルのスペルマンスラグとその日会場に来ていたテレマルク勢による特別ラグ。
チームTelemark!なんかこのメンバーでラグ見れるの貴重で楽しかった♪
家に帰ったのは4時半、長い長い長い一日でした。

まとめます
ハーディングフェーレが生まれたハルダンゲル地方でたくさんの方に私の楽器を見てもらい、コンサートでそのを音色聴いて頂けた事、Knutさんに弾いて認めてもらえた事、ただ日本人だから、珍しいからという理由ではなく、一職人としてしっかり評価を頂けた事が何より嬉しくて、職人冥利に尽きますし、大変光栄に思います。信頼は簡単には得られないと思います。ノルウェーで過ごしたこれまでの月日の中ではたくさん乗り越えるべき壁が自分の中であって、その都度乗り越えてきた結果が今であって、だからこそ、今回のイベントや評価も生まれたのだと信じています。小さな積み重ねが日本とノルウェーを繋ぐ上ではとても大事な事なのではないか?と私は思います。まぁ何事もね。
今回は色んな方のご協力がありました。彼らなくしてはあり得ませんでした。
ここで言ってもほとんどの方々には届かないかもしれませんが、改めてありがとうございました。

この日に関する事はこちらの国営放送局NRKラジオ、テレビ、後NorgeRundtと言う何十年と続く、その週ノルウェー各地域で起こった出来事をピックアップして特集する全国放送の番組にも取り上げられて(知らぬうちにw)、自身とてもビックリしています。
あと日本の記事ではノルウェーで活躍されているジャーナリスト鐙麻樹さんが記事を書いて下さいました!是非ご一読いただけると幸いです。↓

「ノルウェーと日本を民族楽器でつなぐ、珍しい2人の日本人」

https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20171005-00076552/

4時半帰宅で、寝ぼけ眼で我々が翌日向かったのは、ハーディングフェーレ製作史を語る上で欠かせないあの一家の地を訪れました。
次に続く…

0 件のコメント:

コメントを投稿