先日お伝えしたように、引き続き工房は休業中です。
これは、その前から出てた話なのですが、コロナの影響もあって、修理した楽器を当初は取りに来られる予定だったのですが、県外で遠方のお客さんということもあり、それが難しくなりました。お客さんのご希望もあって配送を今回行いました。楽器の配送に関しては一般的によく行われるものですが、やはりその道中のトラブルによる破損などリスクもあるため、かなり気を遣う所です。
今までの働き先の様子を見ていたりすると、割と楽観的に考えている方もいます。僕自身も極端な話で言えば楽器ケースに入っていれば、基本的は大丈夫なものだと思います。奏者が楽器を車の荷台に載せて運ぶのと同じと考えれば、振動は当然ありますが、普通は問題ないと思います。ただし、楽器の状態であったり、荷物の積み方によっては影響は出ることは少なからずあります。
配送業者さんに頼む場合、楽器の扱い方を知らない方だと雑に扱われることもあるかもしれません。これが一番怖い所です。
配送のメリットは工房に出向かなくて良いため、交通費やそれに割く時間もなくなりますので、便利ですよね。
デメリットは、こちらの工房で言えば、取りに来られた場合(もしくは出先で可能な場合)、修理、試奏などして確認してもらい微調整をその場で行い、お互い納得した状況で仕事を終えられるので安心感も個人的にはありますが、配送ですと、その微調整が出来ないため、こちらで全て決定することにあります。一般的にはこれで良いという事も奏者によって微妙に変わってきます。もちろんその場合は出来る限りご意見をうかがってこちらで調整致します。
それから、配送中に起こる振動で、魂柱、駒などがずれる可能性もあるので、せっかくこちらで音調整をしても、それで動いてしまったら元も子もないですよね。
そして、配送中の破損リスク。これは僕が思うに梱包さえしっかりしていれば、基本大丈夫なはずです。結局の所、配送中の扱い方で大きく左右されます。これが一番重要ですが、こちらではコントロール出来ない所。扱いが丁寧であれば配送中に壊れる事はまずないです。
業者によっては補償金が出ますが、それを超える修理代金の場合、こちらで負担するのは難しいです。楽器自体に保険が掛かっていれば、それも適用出来るのでより安心です。
なぜ自分が、ここまで配送に慎重なのかと言いますと、昔、横板の割れた(もはや穴開いてました)チェロを見たからです。僕はそのチェロの横板修復を担当しただけなので、どういう梱包をしていたのかも分かりませんし、業者さんがどう扱っていたのか、責任の所在は分りませんでした。それを突き止めるのもまた面倒な所ですよね…
それもあって、出来れば避けたい所ですが、今はそうも言っていられない状況になったので、今回梱包材を注文して、楽器を送りました。過保護かというくらいにがっちり梱包しました^^;
結果問題なく、修理の結果もお客さんのメールからするととても良かったそうなので、まず無事に届いたことにとても安堵しましたし、ご満足頂けて良かったです。
ここまで過保護にならなくても基本大丈夫だとは思うのですけどね。念には念をという事で。
これから遠方に楽器を送る事もきっとあるでしょうし、今回の件はそう言った意味でも良い経験になりました。