11月になりました🍁
さて、今日はハーディングフェーレを演奏するではよく話題にあがる共鳴弦のチューニングの問題についてのお話です。
通常は他の弦同様にペグで行います。E弦についてはヴァイオリン同様アジャスターをつけるのも一般的です。しかし、E弦と同じくらいの細い共鳴弦はアジャスターがありません。つまり、ほかの弦よりも、ほんの少し回しただけで音程が大きく変わってしまうチューニングをペグで行わなければなりません。ただ、難しい感じに聞こえるかもしれませんが、ペグの状況が良好で、あとは慣れればそんなに難しいとは実際は感じません。
しかし、ハーディングフェーレでコンサートを行う奏者たちにとっては曲の合間のチューニングは素早く行いたいところ。
しかし、ここでいつも思い出されるのは、ノルウェーでハーディングフェーレのコンサートを観ていた時、ご年配の女性が
「この時間もハーディングフェーレのチューニングもコンサートの一部だから良いのよ♪」
と仰っていたこと。僕もそう感じているので、正直あんまり気になりません。
それは個人の意見なので置いておいて...そうは言っても流れも大事ですよね。
この共鳴弦をアジャスターと同様に細かくチューニングする方法としては、2つ。
1つは今では一般的なギアのペグを使うこと。このペグはヴァイオリンで元々開発されたものですが、共鳴弦のチューニングにはとても良い効果があります。普通にペグを回す感じなのですが、音程の調整がアジャスターのように細かく出来るようになっています。
僕の楽器でも以前、共鳴弦付きフィドルを作ったときにこのペグを使いました。ノルウェーにいた頃も使用する機会がありました。
ただこちらのデメリットは弦交換が面倒。普通に回していてもアジャスターくらいの微々たる音程してか変わらないので、初めにたくさん回すのが大変。それ用の専用の工具はあったと思いますので、これがないと少々面倒かなと。最新のギアペグの精度は詳しくないので試したいと思うところですが、以前の経験からすると、ペグを巻いている最中に細い共鳴弦がギアペグの小さな隙間に食い込んでしまうことが多々あり、弦を切ってしまうことも。
結果として共鳴弦の配置を変えることで何とか解決はしましたが、少々扱いにくい印象でした。
あとはハーディングフェーレ特有の装飾ペグが作れないこと。伝統的なデザインをした中にはちょっとミスマッチ感のあるペグの素材。
そのあたりが気にならなければ共鳴弦のチューニングをする上ではとても便利なギアペグです。ですので、ご要望があればギアペグを付ける。という感じですね。
もう1つはテールピースにアジャスターをつける事。今回はそちらの方法を実験し試作品を作りました。前々から奏者の方々と話すと、テールピースにアジャスターがあれば...という事を度々耳にしておりましたので、作ってみることに。
こちらのデメリットとしては、共鳴弦の数だけアジャスターをつける事になるため重たくなる事。またテールピースの長さの半分近くをそれに占領されるため通常のハーディングフェーレのテールピースの装飾が出来なくなる。(部分装飾になる)
これを作るうえで、既存のヴァイオリンのテールピースは使えないので、(一応試しましたが駄目でした。)テールピースを1から作ることになります。この辺はハーディングフェーレと同じですね。
あと、単純にアジャスターを付ければ良いというものではなく、配置、弦がぶつからない、弦交換の際問題なく出来るか、駒の共鳴弦を通る高さより低い位置から弦が飛びださないといけない。など結構色んな事を考えなくてはなりません。
そこで出来たのがこちらの形
色々考えましたが、今の所この形以外考えがつきませんが、上記の問題をすべてクリアは出来ています。
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