いつもお話していると思うのですが、ハーディングフェーレの製作技術、例えば細かい部分の丁寧な木工技術、綺麗に接着など、簡単に言えばそんなところですが、そうした技術は昔は高くはありませんでした。もちろん職人によりけりですが、ヴァイオリン製作の技術と比べるとやはり多くの製作者は劣るところがありました。僕のヴァイオリン職人としての経験から正直に申し上げると、これは素晴らしい木工技術だと思えた楽器、職人さんはほんの極僅かです。
趣味、またはプロだとしても中には、しっかりとした教育がないまま、楽器製作をやっていた方が多かったため、今も荒い作りの楽器は度々工房にやってきます。最初にここに来た時に出会った修理のハーディングフェーレ達のクオリティーには驚愕したものです(笑)教育がなければ仕方ないことですし、型にはまらない自由な楽器こそ民族楽器の良さでもあると思っています。そのおかげで飽きることはまずないでしょう。
そんな「これどこから直せば良いのか…」とフリーズするような楽器たちを相手に修理修復をこなしてきました。
前置き長くなったのですが、では、そうした質の良くない、自身の製作には真似たくないな...と思う楽器達は自身の経験に役に立たないかというとそれはないですし、そうした楽器から学べることは多くあると思います。なぜこの修理が必要になったのか?こう作るとどういう問題が起きやすいのか?
音に関しても同様です。こういう風に作るとどういう音になる傾向にあるか?木の質、厚み、サイズ、アーチの高さ、F字孔のサイズ等。こうした楽器があるおかげで、自身の楽器では同じことをしなくて済むのと、逆に採用をする事もあります。
楽器を直すことは、楽器を作る上でもとても重要な事だと思います。
逆もまた然り、楽器の丁寧なつくり方を理解していると、直すときにどうするべきかが見えてきます。もちろんハーディングフェーレはサイズや作りも多種多様なため、自分が目指したい修理が必ずしも毎度出来るわけではありません。妥協しなくてはいけないことも多々。その中でも、出来る限り、しっかりとした修理、良い音を出す努力をしています。
先人の作品は興味深いものが多いです。真似したいかは別としてね(笑)
今回も色々楽器を見て、職人さんともお話する中で、色々製作に関して、作りたいものが見えてきました。早く帰って楽器、作りたいですね。まずはオーダー頂いている楽器を頑張って作っていこうと思います^^
文字ばかりではつまらないので、今回見た楽器の中でちょっと載せてみます♪
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