2020年5月2日土曜日

北欧の民主主義

ノルウェーにいた頃、ヤフーニュースに僕の記事を書いて下さったノルウェー在住でジャーナリスト・鐙麻樹(あぶみ あさき)さんの新しい本が出版され、それが手元に届いたので、早速拝読させて頂きました。
「北欧の幸せな社会のつくり方~10代からの政治と選挙~」

政治と選挙かぁ...と聞くと、難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この本はとても分かり易く、読みやすいです。夢中になっていて、外が真っ暗になってもカーテンするの忘れていたくらい。書きたいこと多すぎてかなり減らしましたが、それでもこの量に…^^;

ノルウェーにいた頃から、それとなく見ていたノルウェーの選挙の様子。日本とは違い、選挙がお祭りの様に楽しそうで、国民と政治家との距離が近い印象がありました。でも詳しくは知りませんでした。
この本を読んでいて、同じ選挙や政治のはずなのに、日本とは根本的に分かり易さ(特に言葉の表現)、親しみ易さや雰囲気、政治家と国民の熱意、国民への寄り添う姿勢など...違いを感じました。ノルウェーに限らず北欧にまとめていえるとこちらを読んでいて思いました。
この本では、そんな北欧の政治や選挙の様子が多くの写真と共に紹介されています。途中フフっとなってしまう所も多くて、面白かったです。

 選挙中の様子
一方では2011年に起きたテロの事も上がっています。読んでいるだけで胸が締め付けられそうな気持ちになりますが、政治を語る上では切り離せない部分です。死刑にならないその理由も読んでいて、僕自身の心を動かす言葉になりました。でもやはり難しい…もし自分の近しい存在が同じ目に合ったらと思うと…
悲劇を繰り返さないための取り組みも見ることが出来ます。

小学生が政党を訪問する課外授業では、僕が同い年であったころには絶対できなかったであろう質問も出ていて、驚きました。また高校生による模擬選挙、各党の青年部代表が集まり、学生らと討論を行う場。選挙権はなくとも選挙を持った際には、なんの身構えもすることなく選挙に参加できる準備の場、近い世代の人同士の話しやすい場を設けるというのも良いですよね。

課外授業の様子
学校選挙。公開討論会。

ふと自分はどうだったかなぁ?思い返すと、中学の時だったか、男女平等をテーマにディベートをクラスでして、自分も何か発言していた気がします(笑)面白かった印象あるなぁ。
政治的な話をする中で不安視するのは、自分の意見と相手の意見が違うというだけで不仲になるような事。それは違うと思っていて、すると本に『「人格」と「考え」は別物。』また『「相手と意見が違っても、議論が終われば、それで終わり。その後、挨拶できなかったり、一緒に夕食の席を楽しめなかったら、残念でしょう?」』←それな!!ってすごく同感しました。こういう姿勢大事ですし、そうでないと中々気軽に話すのも難しいですよね。

グレタさんから始まった気候変動デモについても触れています。
ノルウェーで、とあるお母さんが「娘にとってグレタさんはヒーローみたいな存在」と聞きました。その娘さんはまだ確か7歳か8歳くらいだったと思いますが、その年齢の子もしっかり環境問題に目を向けているんですよね。もちろん日本の子供たちもそういう考えを持っている子もいると思います。色々難しい課題もあると思うけれど、これからこういう子供たちが未来を作っていくのかなと…
気候変動デモの様子

コロナ渦中で政治への関心度が上がっているであろう今。(主には政府に対する不満だと思いますが…)他国の様子を見て比較するのも良い機会かと思います。
教育関係や政治家の皆さん、まだ選挙権がないお子さんにも良いのではないのでしょうか?日本が北欧と同じ手法で行うことが合っているのかどうかは分りませんが、国民の政治への関心の手助け、投票率を上げるためにはこうしたアイデアを取り入れても良いのでは?と思います。何よりもやってみないと何も始まりませんし、改善も出来ない。日本は他国の文化を吸収する事には慣れているでしょうし、そんなに難しい事でもない気はします。
そして、民主主義ってこういう事なんじゃないかなぁ。とこの本を読んで思いました。
「日本を自分たちの手で作る」という意識が我々には、今、より必要なのでは?と、この本を通じて感じることが出来ました。
ここには書けなかった本の内容がまだまだあります。お写真もたくさんで読みごたえありました!ご興味ある方は是非。
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/1090.html

この本を通じて、北欧の国々の事を日本に伝えて下さった鐙麻樹さんに大きな感謝を。
※本誌内の写真掲載は許可を得ております。

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